むし歯と並び、歯科2大疾患の1つとされる歯周病。「歯ぐきが腫れる」「歯がグラグラする」などの症状は広く知られていますが、その歯周病にもいくつかのタイプ(種類)があることはご存じない方も多いようです。
そこで今回は歯周病について詳しく掘り下げ、その種類やその特徴などをご紹介します。
「歯周病」ってどんな病気?
歯周病は口内の細菌(歯周病菌)が歯ぐきに感染し、その炎症がやがて周囲の組織に広がる病気です。
図に示すように、1本の歯はその周りを「歯ぐき(歯肉)」「セメント質」「歯根膜」「歯槽骨」の4つの歯周組織に支えられ、その場所に位置しています。
歯周病は細菌の感染とその炎症によって、これらの歯周組織が少しずつ破壊されていく病気です。
歯を失う原因1位
歯周病は進行に応じて「歯肉炎」と「歯周炎」の2つに大きく分類されます。
「歯肉炎」は歯周病の初期に起こる歯ぐきの炎症で、この段階では歯の周囲の骨(歯槽骨)の破壊はまだ起こっていません。
歯肉炎から「歯周炎」に進行すると、歯槽骨を含む他の組織の破壊が進み、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
実際に、歯周病は抜歯原因で最も多くの割合を占めており、60代以降で歯を失う人の半数以上は歯周病が原因で抜歯に至っています。
歯周病にはいくつかのタイプ(種類)がある
歯周病の発症に関わる細菌(歯周病原生菌)は10種類以上に及び、どの細菌が関与するかによって悪性度が変わるといわれています。
また、発症には細菌のほかにも、年齢や性別、遺伝、生活習慣など複数の要因が複雑に絡み合っているのが特徴です。
したがって、一口に「歯周病」と言ってもその病態は様々で、人によって発症する歯周病のタイプが異なります。ここでは、いくつかある歯周病のタイプ(種類)の中から、代表的なものをご紹介していきましょう。
歯 肉 炎
■プラーク(歯垢)由来の歯肉炎
歯周病の初期に起こる歯肉炎の多くは、「プラーク」と呼ばれる細菌の塊が歯ぐきの周囲に付着することで発症します。
歯肉炎は炎症が歯ぐきに限局していており、プラークを徹底的に除去することで炎症を抑え、元の健康な歯ぐきに回復することができます。
■薬物の服用によって起こる歯肉炎
病気の治療で服用する薬剤の中には、副作用で歯ぐきが腫れてしまうものがあります。代表的なものに、高血圧・狭心症の治療で使われるカルシウム拮抗薬(ニフェジピン)、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリンなどが挙げられます。
いかがでしたでしょうか。次回は歯周病の種類についての続きとセルフケアの危険性についてご紹介いたします。