ブログ

「歯が浮いたような感じ」がするとき、歯には何が起こっている?

いかにもわざとらしく、見え透いた言動に不快になる様子を「歯が(の)浮くような~」と表現することがあります。この「歯が浮く」という慣用句はもともと、酸っぱいものを食べた時に感じる歯の違和感や不快感がその由来ともいわれています。

ただ、「歯が浮く」というのは実際に歯の異常を知らせるサインでもあり、そのうち腫れや痛みに変わることも少なくありません。

そこで今回は、歯が浮いたように感じるときに歯やその周囲に何が起こっているのか、その原因ついて解説していきたいと思います。

歯が浮いたように感じる・・・その発生元は「歯根膜」

「歯が浮いているような感覚」とは一般に、歯の根元やその周囲に痛みとは違う、何とも表現しがたい違和感や不快感をそのように表現しています。その感覚の発生元は、歯の根っこの周囲を取り囲む「歯根膜(しこんまく)」という組織です。

歯根膜がダメージを受けたときに起こる

上の図にあるように、1本の歯は歯ぐきから上の「歯冠」と歯ぐきの中に埋まっている「歯根」から成り立ちます。

歯根は歯の柱となる部分ですが、直に骨の中に埋まっているのではなく、「歯根膜」というゴムのような柔らかい組織を介して骨とつながっています。その役割は、噛んだ時に歯に加わった力を吸収し、骨に伝わる衝撃を和らげること。さらに、歯根膜は食べ物の硬さを感知するセンサー機能も備えています。

髪の毛1本、米粒1つでも察知できるのはまさに歯根膜のセンサーのおかげで、この機能によって私たちは食べ物の硬さに応じて噛む力を調節することができるわけです。この歯根膜の中にはたくさんの血管が走っていますが、何らかの原因で歯根膜にダメージが加わると、そのダメージを修復するために一時的に血流が増大します。その結果、歯根膜の厚みが増し、それが「歯が浮く」という感覚を生みだしていると考えられています。

歯が浮く感覚は、歯の異常を知らせる最初のサイン

むし歯や歯周病をはじめとする歯の病気は、その多くが発症してもすぐに症状があらわれません。症状として一番わかりやすい「痛み」が出る頃には、病状がかなりのところまで進行していることがほとんどです。そのような状況で「歯が浮いた感じがする」というのは、痛みがでる前にあらわれる数少ない異常のサインといえます。では次回は実際に歯が浮いた感じがする症状で考えられる原因をいくつか挙げていきます。