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第3の歯科疾患「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?

「酸蝕症(さんしょくしょう)」という病気をご存じでしょうか? むし歯・歯周病と比べるとあまり知名度はないものの、過去の調査では日本の成人の26.1%(4人に1人)が罹患していると報告されており、酸蝕症はむし歯・歯周病にならぶ「第3の歯科疾患」「現代の生活習慣病」ともいわれています。一方で、酸蝕症はいまだその病名を知らない方も多く、自身で気づかないまま進行させてしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、酸蝕症とはどのような病気なのか、その原因や症状、予防法などをご紹介していきましょう。

酸蝕症とは歯が溶けていく病気


酸蝕症は酸性度の強い飲食物、一般に「すっぱい」と感じる食べ物や飲み物を頻繁に摂取することで、歯の表面が少しずつ溶けていく病気です。
歯は体の中でもっとも硬い組織といわれる一方、酸に弱く溶けやすいという性質を持っています。歯科2大疾患のむし歯も、口内の細菌がつくる酸によって歯が溶けてしまう病気です。ただ、むし歯の発症には細菌のほかにも、食事(糖分)や歯と唾液の性質(宿主因子)といった様々な要因が関わっています。
これに対して、酸蝕症は口内の細菌を介さず、食事などに含まれる酸が直接作用して起こるのが特徴です。

酸蝕症になった歯の特徴

酸蝕症で歯の表面(エナメル質)が少しずつ溶けると、歯には下記のような特徴がみられるようになります。さらに、エナメル質が溶けてその内側の象牙質がむき出しになると、冷たいものや熱いものがしみる「知覚過敏症状」を引き起こしていきます。
【酸蝕症になった歯の特徴】
●歯の表面にツヤがない
●前歯の先端が透けて、ギザギザになったり欠けたりしている
●歯全体が丸みを帯びている
●奥歯に深い溝やへこみがある
●詰め物やかぶせ物が外れやすい

酸蝕症の原因は?
酸蝕症の原因は「外因性」と「内因性」の大きく2つに分類されます。
【外因性】
外因性の酸蝕症は、主に酸性度の強い飲食物を口にすることで発症します。身近なものではミカンやレモンなどの柑橘類、梅干し、炭酸飲料などが代表的です。また、スポーツ中や真夏の熱中症対策でよく飲用されるイオン飲料(スポーツドリンク)も酸性飲料となります。
酸性度は一般に「pH」という指標で表され、数値が小さいほど酸性度が強くなります。お口の中は通常、pH7の中性に保たれていますが、pH5.5以下になると歯の表面(エナメル質)が溶けだします。私たちが普段口にする飲食物のなかには思っている以上に酸性度が強い(pH5.5以下)ものが多いことは知っておいたほうがいいでしょう。

【内因性】
内因性の酸蝕症は、体内から口の中に酸が出てくることで発症します。もっとも代表的なのは「胃液」で、嘔吐などで口内が胃酸にさらされると歯が裏側から溶けだしていきます。
月に1回や数回程度の嘔吐であれば問題ありませんが、胃食道逆流症や過食症・拒食症などで嘔吐の頻度が多くなるケースは注意が必要です。

いかがでしたでしょうか。次回は近年の健康ブームと酸蝕症の関係についてご紹介いたします。