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第3の歯科疾患「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?②

前回に引き続き今回は健康ブームと酸蝕症の関係についてお話しいたします。

「健康ブーム」で酸蝕症が急増?その理由とは

近年は年齢を問わず「健康に良い」と謳われる多種多様な製品が、スーパーやドラッグストアで販売されています。ただ、このような健康食品・健康飲料はその多くに酸が含まれているため注意が必要です。代表的なものに、黒酢、栄養ドリンク、乳酸菌飲料があります。

また、錠剤やカプセル型のサプリメントを水で服用せず、噛み砕いて服用し続けたことで歯が酸にさらされ、酸蝕症を引き起こすケースもみられます。

コーティングされた錠剤やカプセル型の薬剤はその中身が強い酸性の場合もあるため、誤った服用法で酸蝕症を悪化させないよう注意しましょう。

酸蝕症を予防するにはどうしたらいい?

普段、私たちのお口は中性に保たれており、食後一時的に酸性に傾くものの、唾液の中和作用によって中性に維持されるようになっています。しかし、酸性の飲食物を頻繁に摂取すると唾液の作用が追いつかず、酸蝕症を引き起こしてしまいます。

一方で、酸性の飲食物にはクエン酸やビタミンCなど、体に必要な栄養素を多く含んでいます。これらを含む飲食物は「健康に良い」とされているもの

も多いため、すべてを控えるというのも現実的ではありません。

【酸蝕症予防のポイント】

酸性の飲食物については下記の予防法を参考に、食べ方・飲み方に注意しながらうまく取り入れることが大切です。飲み物の場合は、ストローを使うと飲料が歯に触れる回数を減らせます。また、酸性の食品は牛乳やヨーグルトなど、カルシウムを含む食品と一緒に摂取すると酸蝕症のリスクを下げることができます。くわえて、就寝中は1日のなかで唾液の分泌がもっとも減る時間であるため、寝る前に酸性の飲食物を摂取するのは控えましょう。

酸蝕症対策のカギは「早期発見」歯科定期検診でチェック

酸によって歯が少しずつ溶けていく酸蝕症は初期症状に乏しく、自身で気づかずに悪化させてしまうケースも多くみられます。しかし、酸蝕症を起こしている歯にはある特徴があり、専門家が診察すればその兆候を見逃すことはありません。

したがって、普段から酸っぱい食品を好んで食べる方や、体のために健康食品・飲料を愛用している方は、歯科医院で定期的に酸蝕症のチェックを受けることをおすすめします。

くわえて、歯科医院では高濃度フッ素塗布によって、酸に強い歯質を作る対策も行っています。

むし歯・歯周病に続く「第3の歯科疾患」といわれる酸蝕症も、ぜひ歯科定期検診で予防、早期発見に努めていきましょう。