歯磨きは小さなお子さんからご高齢の方まで、年齢を問わず誰でも気軽にできるオーラルケアです。一方で、その手軽さゆえに「磨いているつもりで“磨けていない”」という問題も度々生じてしまいます。
毎日磨いているのに「むし歯を繰り返す」「歯周病が悪化する」という事態に陥らないために、今回は磨き残しを限りなくゼロに近づけるポイントをご紹介していきましょう。
きちんと磨けていますか?磨き残しの多い部位とその原因
はじめに、一般に磨き残しが多い部位と「なぜ磨けていないのか」という原因について詳しくみていきましょう
磨き残しの3大部位は「歯と歯の間」「噛む面の溝」「歯と歯ぐきの境目」
歯磨きで一般に磨き残しが多いといわれるのは、「奥歯の噛む面の溝」「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」の3か所です。これらの3つの場所は、同時にむし歯の好発部位(なりやすい場所)としても知られています。
これらの場所に磨き残しがでてしまうのは「毛先が届きにくい」という点にくわえ、歯や歯列の形態を考えずに歯ブラシを動かしてしまうことも大きく関係しています。
皆さんもご存じのように、1本1本の歯は表面が緩やかなカーブを描いており、平らな部分はほとんどありません。それが一列にズラッと並ぶわけですから、歯列には小さな凸凹がたくさん生じてしまいます。その歯列に平らな歯ブラシをそのまま当てて横にゴシゴシと動かしても、出っ張っている凸面にしかブラシが当たりません。そのため「歯と歯の間」「噛む面の溝」「歯と歯ぐきの境目」など段差や凹みのある部分に磨き残しが多くなります。
「ながら磨き」も磨き残しが増える原因に
磨く面を意識しない「ながら磨き」も磨き残しが多くなる要因の1つです。
ながら磨きをすると、歯ブラシが動かしやすい場所や自分が磨きやすい場所に集中しやすくなります。これによって生じるのが、一般に磨きにくいといわれる「前歯の裏」や「奥歯の裏」などの磨き残しです。また、「利き手側ばかり磨いて、その反対側が磨けていない(磨き忘れる)」ということも多々起こります。
【基本編】歯磨きの基本を見直そう
磨き残しを減らすために、まずは歯磨きの基本をおさらいしておきましょう。
磨く部分を意識する
磨き残しがでる最大の要因は「無意識に歯を磨く」ことにほかなりません。
磨き残しを極力減らすためには、自分が「今どの部分を磨いているのか」「次にどこを磨くのか」を意識して磨くことを心がけていきます。このとき、あらかじめ「磨く順番」を決めておくと磨き忘れを減らすことができるでしょう。
歯ブラシは軽い力で小刻みに動かす
磨く場所を意識したら、その歯面に歯ブラシの毛先をきちんと当て、ブラシを小刻みに動かします。ヘッドを大きく動かすと凹みに毛先が入らないため、歯ブラシを歯面に当てたら5~10㎜ぐらいの幅で横に細かくスライドさせるのがポイントです。
力加減は軽めに、歯ブラシの毛先が広がらない程度の力で磨いていきましょう。
最低1日1回はデンタルフロス・歯間ブラシを使う
どんなに歯磨きが上手な人でも、歯ブラシ単独で磨けるのは全体の6~7割程度といわれています。磨き残しを減らすうえでは歯ブラシにくわえ、歯間ブラシやデンタルフロスに代表される補助清掃器具の使用が必須です。目安としては1日1回、就寝前のケアがおすすめです。
いかがでしたでしょうか。次回は応用編をお届けいたします。