普段何気なく使っている歯みがき剤にどんな成分が、どんな役割を持って含まれるかを知っておけば、あなたのお口の状態に合った製品が選びやすくなるでしょう。
次回、歯みがき剤を購入する際は、ぜひパッケージ裏面の「成分表示」をチェックしてみてください。
歯みがき剤の「基本成分」の中身とその役割
歯みがき剤の基本成分には、次のような役割や働きを持つ成分が含まれています。代表的な成分名と一緒にご紹介していきましょう。
清掃剤(研磨剤):歯の表面の汚れ(プラーク)を落とす
【代表的な成分】無水ケイ酸・炭酸カルシウム・リン酸水素カルシウム・水酸化アルミニウムなど
かつては「研磨剤」と表記されていましたが、現在は「清掃剤」と記載されている製品がほとんどです。
清掃剤には、歯の表面を傷つけることなくプラーク(歯垢)や着色汚れを落とす働きがあります。
湿潤剤:適度な湿り気を与える
【代表的な成分】ソルビット液・プロピレングリコール・グリセリンなど
湿潤剤は歯みがき剤に適度な湿り気を与え、使用感をよくする働きがあります。
発泡剤:泡立ち成分
【代表的な成分】ラウリル硫酸ナトリウムなど
発泡剤は歯みがき剤を泡立たせ、お口全体に拡散することで成分を隅々まで行きわたらせる働きがあります。
香味剤・清涼剤:香りや爽快感を与える
【代表的な成分】サッカリンナトリウム・メントール・ミント類など
「香味剤」または「清涼剤」と表記される成分には、香りや爽快感を与えて歯みがき剤を使いやすくする働きがあります。
保存剤:品質の変質・劣化を防ぐ
【代表的な成分】パラベン・安息香酸ナトリウムなど
保存剤には歯みがき剤の変質や劣化を防ぐ働きがあります。
日本で製造された歯みがき剤は、未開封かつ適切な環境で保管すれば3年間その品質が保たれるように作られています。
歯みがき剤の「薬用成分」の中身とその効果
歯みがき剤の薬用成分は、厚生労働省がその効果を認めた成分が配合されています。代表的な効果と成分名を以下にご紹介していきます。
・むし歯の発生・進行の予防
【代表的な成分】モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)・フッ化ナトリウム(NaF)など
歯みがき剤に含まれる「むし歯予防」の代表的な成分は、一般に「フッ素(フッ化物)」と呼ばれる成分です。フッ素によるむし歯予防効果は科学的にも認められており、世界中でフッ素配合歯みがき剤が推奨されています。
・歯周病(歯肉炎・歯周炎)の予防
【代表的な成分】イソプロピルメチルフェノール(IPMP)・塩化セチルピリジニウム(CPC)・トリクロサン(TC)・酢酸トコフェノール(ビタミンE)・トラネキサム酸など
歯周病予防の成分では、殺菌効果のある成分や歯ぐきの血行を促す成分、歯ぐきからの出血を抑える成分などが含まれています。なお、IPMPやCPC、TCなどの殺菌成分は、むし歯の発生や進行予防にも効果があります。
・歯石予防
【代表的な成分】ピロリン酸ナトリウム・ポリリン酸ナトリウム・リン酸三ナトリウムなど
歯石はプラークが唾液の成分によって石のように硬くなったものです。
これらの成分にはプラークが硬くなる(石灰化)のを抑えるほか、歯の表面をコーティングして歯石をつきにくくする効果があります。
・歯の着色予防(タバコのヤニ除去)
【代表的な成分】ポリエチレングリコール(PEG)・ポリリン酸ナトリウムなど
これらの成分には歯の表面についたヤニ汚れや着色汚れを浮きあがらせて除去するほか、着色物の再付着を防ぐ効果があります。
・口臭の予防
【代表的な成分】ラウロイルサルコシンナトリウム ・銅クロロフィリンナトリウムなど
これらの成分には、口臭のニオイの元をつくる細菌を殺菌する効果があります。
このほかに、「歯周病予防」の項目でご紹介した塩化セチルピリジニウム・トリクロサンなども口臭予防の効果が認められています。
歯がしみるのを防ぐ(知覚過敏ケア)
【代表的な成分】硝酸カリウム・乳酸アルミニウム
など
何らかの原因で歯がエナメル質のバリアを失うと、外部の刺激が象牙質から神経に伝わりやすくなり、「歯がしみる」といった知覚過敏症状があらわれていきます。
これらの成分には外部からの刺激を遮断し、症状を和らげる効果があります。
自分に合う歯みがき剤で日々のケアを
市販の歯みがき剤にはたくさんの成分が配合され、それぞれに役割や効果があります。なかでも薬用成分については、今回ご紹介した以外にもお口のトラブルに対応した成分が数多く存在しています。あなたのお悩みに適した成分や製品はどれなのか、ぜひ当院スタッフにご相談ください。