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フッ素配合の歯磨き剤の使用基準が変更となりました

2023年1月、歯科に関連する4つの学会がフッ素(フッ化物)配合歯磨き剤の利用方法について新たな見解を発表しました。

この発表では、これまで推奨されてきた年齢別のフッ素濃度や使用量、さらに使用方法がアップデートされています。

そこで今回は、新たに更新されたフッ素配合歯磨き剤の推奨される利用法について、これまでの方法との違いなどをご紹介していきたいと思います。

年齢ごとに推奨される「フッ素(フッ化物)濃度」と「使用量」が改定

歯科の4学会(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)が新たに発表したフッ素(フッ化物)配合歯磨き剤の利用方法。なかでも、大きく変更されたのが下記の3点です。※ppm:フッ素の濃度を表す単位

国際歯科連盟(FDI)や世界保健機関(WHO)など国際的な機関では、以前より年齢にかかわらずフッ素濃度1,000 ppm以上の歯磨き剤が推奨されていました。これまで日本ではこれとは別の推奨ラインを設定していましたが、新たな推奨方法では国際的な推奨にならう形で設定されています。

新しい利用法でフッ素(フッ化物)配合歯磨き剤の効果はどう変わる?

「フッ素(フッ化物)」はむし歯予防の代名詞として世に広く知られるようになり、近年は市販の歯磨き剤の90%以上にフッ素が配合されています。あまり知られていませんが、数あるむし歯予防のアイテムの中でその効果が科学的に実証されているのは、実はこのフッ素配合歯磨き剤のみです。

フッ素濃度が高くなるとむし歯予防効果が上昇する

世界保健機構(WHO)の報告によると、歯磨き剤に含まれるフッ素濃度が500ppm高くなると、むし歯予防効果は6%上昇するとなっています。また、世界的に信頼性の高いデータにおいても1,000ppmの歯磨き剤のむし歯予防効果が23.0%なのに対し、1,500ppmでは29.6%だったと報告されています。

特に子供には大きなメリットが

今回の改訂では、これまでフッ素濃度の上限が1,000ppmだった6歳~14歳で1,4001,500ppmの歯磨き剤が利用できるようになりました。6歳といえばその前後で乳歯から永久歯の生え代わりがはじまり、「6歳臼歯」といわれる大臼歯が奥に生えてくる頃です。生えてきたばかりの永久歯は歯質もまだしっかりしていないため、この年齢あたりから急激にむし歯の発生率が上昇していきます。日本で市販される歯磨き剤で濃度が最も高いのは1,450ppmですが、これが6歳から使用可能になったことは歯質が未熟な年代にとって大きなメリットでしょう。

いかがでしたでしょうか。次回はフッ素配合歯磨き剤の効果的な使い方、安全性についてご紹介いたします。