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年代別でみる歯周病リスクと歯科定期検診のススメ -歯周病ケアは未来への投資!-

「日本人の半数がかかる国民病」といわれて久しい歯周病ですが、むし歯は年々減っている一方で、歯周病は増え続けているのが実状です。
その歯周病は、年齢を重ねるごとにリスクが高まり、症状も進行しやすいことがわかっています。
今回は、年代別でみる歯周病リスクやその原因、さらに歯周病がもたらす健康面・経済面への影響について詳しく解説していきましょう。

こんな症状が気になりだしたら「歯周病」かも?

成人の2人に1人がリスクを抱えている
歯周病は静かに進行する”サイレントキラー”とも呼ばれ、気づいたときには深刻な状態になっていることも少なくありません。
年齢とともにそのリスクは高まる傾向があり、とくに中年期以降は注意が必要です。厚生労働省の調査(2022年)によると、進行した歯周病(歯周ポケットが4㎜以上)の割合は全体で47.9%にのぼります。近年、むし歯は年々減少傾向にあるのに対し、歯周病は依然として増加傾向にあり、成人の約2人に1人がリスクを抱えているのが現状です。
さらに、年齢別にみると、年代があがるにつれ症状が進行した人の割合が増えていきます。とくに、40代以降になるとそのリスクが急激に上昇するため、ご家庭でのセルフケアにくわえ、定期的な歯科検診が極めて重要となっていきます。

(参考)令和4年(2022年)歯科疾患実態調査結果の概要 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001112405.pdf

なぜ成人に多い? 年齢とともに歯周病が増える理由

子どもからご高齢の方まで幅広い年代でみられるむし歯に対し、歯周病は30代以降の成人に多くみられるのが特徴です。
なぜ、歯周病は成人に多いのか、年代があがるごとにリスクが高まるかについては、次の4つの理由が考えられます。

01 進行が遅い
歯周病が成人に多い理由の1つは、その進行の緩やかさにあります。
むし歯が数か月単位で進行するのに対し、歯周病は長い年月をかけてじわじわ進行するのが特徴です。
さらに、やっかいなことに歯周病は初期の段階で自覚症状がほとんどないため、本人が気づかないうちに進行していることが少なくありません。そのことも、年代が上がるごとに罹患率が増える要因となっています。
02 加齢にともなう免疫力の低下や唾液の減少
年を取ると、私たちの体には様々な変化が起こります。お口の中も例外ではなく、年齢を重ねるにつれ細菌から歯ぐきを守る免疫力が低下するほか、口内を清潔に保つ唾液の分泌も少なくなります。
このように、もともと備わった防御機能の衰えも、歯周病のリスクを高める要因の1つです。
03 成人特有の生活習慣・ストレス
30代を過ぎると、仕事やプライベートが忙しくなり、生活が不規則になったり、過度なストレスをかかえたりすることが多くなります。
不規則な食生活や睡眠不足は、体全体の健康に影響を与えるだけでなく、歯周病のリスクも高めてしまいます。また、ストレスも歯周病を進行させる要因の1つです。そのほかに、喫煙・飲酒といった習慣も、歯周病のリスクを高めていきます。
04 年をとっても歯を多く残す人が増えた
かつてはむし歯によって歯を失う人が多く、高齢になると入れ歯を使用する人が大半でした。しかし近年、むし歯は減少傾向にあり、むし歯で歯を失う人は少なくなっています。
ただ、皮肉なことに、それが結果的に70代、80代で歯周病になる人の割合が増える要因となっているのが実状です。
自分の歯を長く保てるようになった一方で、それらの歯を歯周病から守ることが、今後さらに重要になっていきます。

いかがでしたでしょうか。次回は歯周病が健康の及ぼす影響と歯の健康と経済メリットの関係についてご紹介いたします。