前回に引き続き噛むことの影響等をご紹介いたします。
噛むことがもたらす全身への影響
噛むことはお口の健康だけでなく、全身の健康にも大きな影響をもたらします。ここでは、近年の研究で明らかになっている、噛むことと健康との関係についてご紹介しましょう。
毎食「一口30回以上」で記憶力がUP!
最新の研究で、高齢者が意識的に毎食一口30回以上噛むと、わずか1週間後には「噛む力」と「短期記憶」の2つが改善するという結果が報告されています。
さらに6か月以上続けると、短期記憶の維持が期待できることも明らかになっています。
噛む力が落ちると「高血糖」になりやすい
噛む力が弱くなると、無意識に硬い食材を避けがちになり、ご飯やうどん、カレーライスなど軟らかくて糖質の多い食事(糖質偏重食)が増えていきます。
これにより、糖質の摂取量が増加し、それが血糖値の上昇を招いていきます。
タンパク質不足がもたらす筋力の低下
の本数が減り、うまく噛めなくなると肉類を食べる機会が減少します。そうすると、タンパク質が不足しがちになり、筋力の低下を招いてしまいます。この問題はとくに高齢者になると深刻で、筋力の低下による転倒、骨折がきっかけで、寝たきりになるケースも増えています。
毎日実践!よく噛んで食べるための4つのヒント
噛む力を保つためには、日々の食生活にも工夫が必要です。以下に、よく噛んで食べるための4つのポイントをご紹介しますので、ぜひ毎日の食事で実践してみましょう。
食材は大きめに:食べ物の「歯ごたえ」を楽しもう
食材を大きめに切ると、おのずと噛む回数も増えます。これによりお口周りの筋肉が鍛えられるほか、唾液の分泌も促されます。
食べ物の食感を楽しみながら健康増進もできる、まさに一石二鳥の方法です。
飲み物は食後に:噛む力を最大限に引き出す
食事と一緒に飲み物を摂ると、食べ物が飲み込みやすくなることで噛む回数が減ってしまいます。
「食べ終わってから飲む」という習慣が、噛む力を最大限に引き出していきます。
両足は床にしっかりと:噛むためには「踏ん張る力」が必要
小さなお子さんが食べ物を噛むには、足でぐっと踏ん張る力が必要です。
食事の際は足裏がぴったりと床(足場)につくように工夫しましょう。
食事に集中する:「ながら食べ」をやめよう
テレビやスマートフォンを見ながらの、いわゆる「ながら食べ」は注意が食事以外に向いてしまい、無意識のうちに早食いになったり、噛む回数が減ったりします。
できるだけ「ながら食べ」は避け、噛むことに集中しましょう。
予防が決め手!歯科定期検診で「噛む力」を守ろう
よく噛むことは食事をするだけでなく、全身の健康維持にも不可欠です。食べ物をしっかり噛むことは肥満予防をはじめ、味覚の発達、脳の活性化、歯の病気予防など、様々なメリットをもたらします。さらに、よく噛むことは記憶力の向上や糖尿病予防にも効果があることが、最新の研究で明らかになっています。
一方で、これらの効果を最大限に発揮するためには、生涯にわたり健康な歯を維持することが大切です。そのためには毎日のセルフケアはもちろんのこと、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。
美味しく、楽しい食生活を送り続けるためにも、ぜひ3~6カ月に1回の歯科定期検診を習慣にしていきましょう。