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ムシバ菌を増やさない環境を保つ! むし歯予防の新常識 Part2

前回に引き続き虫歯予防の新常識についてご紹介いたします。

昔と今では違う? むし歯発生のメカニズム

むし歯の発生には「宿主」「菌」「糖分」「時間」など、いくつもの条件が複雑に関わっ
ています。そして、これらの条件がどのように影響しあい、実際にむし歯が進んでいくの
か、そのメカニズムの考え方は時代とともに変化しています。
かつては、ミュータンス菌などの特定の菌がむし歯発生に強く関わっており、「悪者(菌
)を減らせば予防できる」という考え方(特異的プラーク仮説)が主流でした。
しかし、研究が進むにつれて、お口の中には多様な菌が存在し、普段はこれらの菌がバラ
ンスを保ちながら共存していることがわかってきました。
このバランスは、「食事(糖分)の回数が多い」などの生活習慣によって崩れやすく、酸
をつくる菌が優勢になるとむし歯が進みやすい状態になります。これが、近年の主流とさ
れる「生態学的プラーク仮説」という考え方です。
この考え方にもとづき、近年は「ムシバ菌を減らすこと」よりも「ムシバ菌を増やさない
環境を保つこと」がむし歯予防の重要なポイントになっています。

“環境づくり”がカギ!むし歯を防ぐ3つの習慣

近年のむし歯予防は「敵(菌)を退治する」から、「敵が増えにくい環境を整える」こと
にシフトしています。具体的には、毎日のセルフケアにくわえ、次の3つを習慣にするこ
とが大切です。

1、食事は“量”より“回数”を意識する

食事(糖分)は、“量”よりも“回数”がむし歯リスクに直結します。
これは、食事の回数が増えるほど、口内が酸性になる時間が長くなるためです。
したがって、朝・昼・晩の3回の食事をベースに間食はまとめて取るようにし、「ダラダ
ラ食べ・ダラダラ飲み」は控えるようにしましょう。

2、フッ素(フッ化物)を活用する

フッ素(フッ化物)は、酸によって溶けた歯面を修復する作用(石灰化作用)のほか、ム
シバ菌が酸をつくるのを抑える働きがあります。
毎日の歯みがきでフッ素配合の歯磨き剤やジェルを使うなど、積極的にセルフケアにも取
り込んでいきましょう。

3、唾液を味方につける

唾液は「口内を清潔にする」「菌が作った酸を中和する」「歯の再石灰化を助ける」など
、むし歯予防にかかわる重要な働きを担っています。「しっかり噛む」「口呼吸を減らす
」「食後にシュガーレスのガムを噛む」など、唾液の分泌を促す習慣もむし歯予防では大
切です。

毎日のケア+歯科定期検診でむし歯に負けない環境づくりを

ムシバ菌が増えない環境づくりには日常のケアや習慣にくわえ、歯科医院での定期メンテ
ナンスが欠かせません。
歯科医院では、自分では落としきれないプラークや歯石を除去し、高濃度フッ素塗布や食
事・生活習慣の見直しを通じて、むし歯を防ぐ環境づくりをサポートしています。
3~6カ月に1回を目安に、ぜひ歯科定期検診を習慣化しましょう。