前回に引き続き歯の本数と医療費の関係についてご紹介いたします。
歯の健康が将来の医療費に関係する理由
「なぜ歯の本数や噛み合わせが医療費と関係するのか」と疑問に思う方も多いでしょう。その理由として、歯と全身の健康が密接につながっている点が挙げられます。
歯周病が全身の健康に与える影響
永久歯の喪失原因を調べた調査によると、歯が失われる原因で最も多いのは「歯周病」で、全体のおよそ4割を占めています。
歯周病はお口の中の問題にとどまらず、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、認知症など、様々な全身疾患との関連性が指摘されています。
つまり、歯周病を予防することはお口の健康のみならず、全身の健康を守ることにもつながっているのです。
食事の「量」や「質」の低下
歯の状態は食事の量や質にも直結しています。
歯が少なくなったり、うまく噛めなくなったりすると、硬いものを避けるようになり、食事内容も偏りがちです。とくに、肉類などのタンパク質が不足すると筋肉量が減少し、体力の低下を招いて転倒や骨折などのリスクが高まります。
さらに、やわらかく食べやすい炭水化物中心の食事(高GI食品)は血糖値を上げやすく、糖尿病のリスクを高める要因になります。
生活習慣病や要介護の予防の観点からも、日頃から「しっかり噛める口腔環境」を維持することが、重要な健康対策となるのです。
定期的な歯科受診は将来医療費を削減する
歯の健康を保つうえで欠かせないのが「定期的な歯科受診」ですが、実はその習慣が将来の医療費に深く関係することも、様々な調査によって明らかになっています。
予防目的での歯科受診で医療費に差
香川県歯科医師会が行った調査では、年に1回以上、予防を目的に歯科を受診している人と、まったく受診していない人とでは医療費に大きな差がみられました。
5年間の医療費を平均すると、最大で13.5万円の差がついています。
さらに別の研究では、過去6カ月以内に予防目的で歯科を受診した人は、未受診の人と比べてその後8年間にかかる累計介護費用が約11万円も少なかったという結果も報告されています。
歯を守ることは未来の自分への投資
歯の健康を守ることは、医療費や介護費用の節約につながるだけでなく、自分自身の生活の質を高めるうえでも大切な取り組みです。
自分らしい生活を長く続けるためには、今から予防習慣を身につけることが、何よりの近道といえるでしょう。
ご家庭での毎日のケアにくわえ、3~6カ月に1回の定期検診を習慣化することで、お口の健康と全身の健康、さらに家計の健康まで守ることができます。
小さな習慣の積み重ねが、将来の大きな安心につながります。