歯を失うと「見た目が悪くなる」「食べにくくなる」といった変化に目が向きがちですが、歯の本数は将来の医療費にも関わってくることをご存じでしょうか。しっかり噛める健康な歯を保つことは、実は家計にとっても大きなメリットにつながります。
今回は歯の本数と医療費の関係について、いくつかの調査結果をもとにご紹介していきます。
年齢とともに変わる「歯の本数」と「噛み合わせ」
「人は年齢とともに歯が少なくなっていく」というのは、ご自身や身近な人を通して実感している方も多いでしょう。
実際、厚生労働省の調査においても、1人あたりの平均残存歯数は年齢を重ねるごとに減少傾向にあると報告されています。具体的には、60代では平均で約24本の歯が残っているのに対し、80代では15本程度にまで減少しているのです。
上下の歯がしっかり噛みあう「噛み合わせ」の状態にも変化がみられます。
20代~30代の約9割の人が良好な噛み合わせを保っている一方で、60代になるとその割合はおよそ6割まで低下します。
このように、多くの場合は加齢とともに「しっかり噛んで食べること」が難しくなっていくのが実状といえるでしょう。
歯の本数と医療費の深い関係
歯の本数と医療費の関係を分析した研究では、男女を問わずほとんどの年代において、歯の本数が多い人ほど医療費が低いという結果が示されています。さらに、この傾向は歯が1本~数本抜けた程度でも同様にみられるようです。
若い世代こそ要注意!
一例をあげると、50代男性ではすべての歯がそろっている人(28本)の年間医療費は約89,300円であるのに対し、19本以下になると約98,065円と、1割近く高くなることがわかっています。
この傾向は若い人ほど顕著になることも報告されており、若いうちから定期的に歯科を受診することが、将来の医療費を抑えるうえでも重要であることが示されています。
本数だけじゃない!「噛み合わせ」も医療費に影響
医療費に影響するのは「歯の本数」だけではありません。上下の歯がしっかり噛み合わせているかも大きなポイントになります。
歯の本数が同じでも嚙み合わせが良好であるか?が重要
ある調査では、噛み合わせの良好な人のほうが医療費が安く、さらに歯の本数が同じでも上下がきちんと噛み合っている割合が高い人ほど医療費が低い、という結果がでています。
つまり、「何本歯が残っているか」だけでなく、「その歯がきちんと機能しているか(噛み合っているか)」も、全身の健康や将来の医療費に関わってくるということです。
高齢者に限らず、働き世代においても噛み合わせの状態を良好に保ち、「しっかり噛める口」を維持することは、将来の医療費削減において大きな意味を持つといえるでしょう。
次回は医療費に関係するその理由や削減方法などを具体的にご紹介していきます。