前回に引き続きお酒が口腔内の健康にもたらす影響を詳しくご紹介いたします。
飲酒量と健康リスク:「適度な飲酒」ってどのぐらい?
アルコールの感受性は個人差が大きく、同量のアルコールを摂取しても平気な人もいれば、悪酔いしてしまう人・次の日も残ってしまう人もいます。
飲酒による健康への影響についても、年齢や性別、体質の違いによってその度合いが様々です。
お酒の適正量(缶ビール500ml):男性2本 女性1本
アルコールによる健康リスクは飲酒量が少ないほど低くなることは、厚生労働省が作成した「飲酒ガイドライン」にも明記されています。
とはいえ、現時点で健康に問題がなくお酒を楽しんでいる方にとって、将来リスクを理由で飲酒を完全にやめることは難しいでしょう。
そこで、ガイドラインでは1日の適正な純アルコール量として、男性で40g以下、女性で20g以下という目安を設けています。
純アルコール量とは、お酒の量(ml)にアルコール度数とアルコール比重(0.8)を掛けあわせたものです。
例えば、アルコール度数5%の500mlの缶ビールの場合、男性で約2本、女性で約1本が1日の適正量となります。
以下に、その他のお酒についても適正量の目安をご紹介します。
ただし、個人の体質や健康状態によって適正量は異なるため、あくまで一般的な目安として活用してください。
楽しい飲酒ライフのために定期的な歯科検診でお口の健康をキープ
お酒を楽しむことは多くの方にとって大切なひと時ですが、その摂取量には十分に注意が必要です。今回ご紹介したように、アルコールの過剰摂取はむし歯や歯周病、歯の喪失リスクを高めるとともに、全身の健康にも多大な影響をもたらします。
あなたにとって適度な飲酒量を理解し、健康状態や体質に合わせた飲酒習慣を心がけることがお口の健康だけでなく、全身の健康を守ることにつながります。
くわえて、歯科の定期検診を受けることで、お口に生じた些細なトラブルを早期に発見し、適切な治療や予防を行うことも大切です。このような予防歯科によるアプローチは飲酒によるリスクだけでなく、そのほかの生活習慣やライフスタイルから生じるリスクからもお口の健康を守っていきます。
ぜひ3~6カ月に1回を目安に、定期的なお口の健康チェックを受けていきましょう。
参考資料
アルコール摂取状況と歯の喪失との関連についての研究:魚沼コホート研究ベースライン調査
日本口腔衛生学会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdh/73/3/73_177/_pdf
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/001169984.pdf