ブログ

「歯の神経を抜く」ってどういうこと?―治療の必要性やリスク、注意点―

「歯の神経を抜く治療」は歯科医院で日常的に行われる治療の1つですが、”神経を抜く”という言葉に思わず身構えてしまうという方も実は少なくないようです。必要な治療とはいえ「なぜ、神経を抜くのか?」「神経を抜いた後はどうなるのか?」と疑問や不安が浮かんでしまいます。
そこで今回は、歯の神経を抜くとはどういうことなのか、治療のメリットやデメリット、注意点などを解説していきましょう。

そもそも「歯の神経」って何? どんな役割がある?

一般に「歯の神経」と呼ばれるのは、歯の一番内側にある「歯髄(しずい)」という部分にあたり、ここには神経や血管、リンパ管などが集まっています。その歯髄には次の大きく3つの役割があります。

歯の神経(歯髄:しずい)の役割)

●感覚を伝える:「しみる」「痛む」などの感覚を脳に伝える
歯の神経の重要な役割の1つは、「しみる」「痛む」といった感覚を脳に伝えることです。
例えば、冷たいものを口に入れたときに、その刺激が歯の神経を通じて脳に届くと「しみる」という感覚になります。
また、むし歯など歯にトラブルが発生した場合は、神経から「痛み」の信号が送られることで、私たちはその異常に気付くことができます。
●栄養補給:血管を通して歯に必要な栄養や酸素を届け、健康を維持する
次に歯の神経の役割として栄養補給があります。
歯髄の血管を通して歯の健康を維持するうえで必要な酸素や栄養などを送り届けることです。
●防御機能:細菌の感染から歯を守る
最後に、歯髄には侵入してきた細菌から歯を守る免疫細胞や、歯を修復する細胞も存在しています。
むし歯が奥深く進行した際にこれらの細胞が活発に働き、細菌の侵入を防いだり、新しい象牙質を作ったりしながら歯を守ってくれます。

歯の神経を抜かなければならないケース

歯科医院で歯の神経を抜く治療が必要になるのは次のようなケースです。
●むし歯が奥深く進行し、歯髄に細菌が感染したとき
●歯が欠けたり割れたりして、外部から歯髄に細菌が侵入したとき
●その他、歯髄やその周囲に炎症が起きているとき
1、歯の神経(歯髄:しずい)の役割)
歯髄に細菌が感染し、炎症が起こると冷たいものや熱いものが強くしみたり、何もしていない状態でもズキズキと激しい痛みをともなったりします。
このような場合に、痛みの元となる神経を抜くことで、症状を抑えることができます。

2、歯の神経(歯髄:しずい)の役割)
歯の神経(歯髄)に細菌が感染すると、歯の根っこの中にある「根管」という管を介して、歯の周囲や骨に感染が広がっていきます。
歯の神経を抜くことで、このような感染の拡大を防ぐことができます。

次回は歯の神経をどのように抜くのか治療の流れをご説明いたします。