食べ物を噛むことは、単に食事をするための行為にとどまらず、あなたの健康を支える重要な役割を担っています。
近年の研究では、噛む機能が衰えると認知機能や生活習慣病の発症にも影響をもたらすことが明らになってきました。
そこで今回は、「噛むこと」がもたらす驚くべき効果や、歯の本数と食生活の関係、さらに毎日の食事で実践できるポイントをご紹介します。
噛むことの8つの健康効果(ひみこのはがいーぜ)
昔の人々は現代人に比べて、食事の際にたくさん噛んでいたといわれています。例えば、卑弥呼が生きてきた弥生時代の食事は、噛む回数が現代の食事の6倍だったという説もあります。このことから、噛むことの効能を示す「ひみこのはがいーぜ」というキャッチフレーズも誕生しました。
今回はこの「ひみこのはがいーぜ」というワードにそって、噛むことがもたらす8つの健康効果をご紹介しましょう。
ひ 肥満予防
噛む回数が多いと満腹感が得られやすく、食べ過ぎを防ぐことができます。
み 味覚の発達
しっかり噛むことで食べ物の味をより深く感じることができ、味覚が鍛えられます。
こ 言葉の発音がはっきり
よく噛むことはお口周りの筋肉を発達させ、言葉の発音をクリアにします。
の 脳の発達
噛むことで脳への血流が促進し、認知機能の向上や脳の発達を助けます。
は 歯の病気を防ぐ
よく噛むことで唾液の分泌が促進され、むし歯や歯周病、口臭の予防に
つながります。
が がん予防
唾液には発がん性物質を分解する成分が含まれています。
よく噛むことで唾液の分泌を促進し、がんのリスクを低減します。
い 胃腸の働きを促進
よく噛むことで消化がスムーズに進み、胃腸の負担が軽減されます。
ぜ 全体の体力向上
しっかり噛むことで全身の筋肉が刺激され、体力の向上や疲れにくい体づくりにつながります。
食事の楽しみは「歯の本数」で変わる?
食べ物をしっかり噛むためには、健康な歯が何本あるかも非常に重要です。一般に、永久歯が20本以上あれば、ほとんどの食品を美味しく食べることができるといわれています。しかし、それ以下になると、フランスパンやたくあんなど歯ごたえのある食べ物を楽しむことは難しくなります。
そして、歯の本数が減少し、5本以下になるとバナナやうどんなど、軟らかい食品しか食べられなくなるのです。
実際に、平成25年の国民健康・栄養調査では、20歳以上で歯が20本以上ある人の91.7%が「何でも噛んで食べられる」と回答しています。その一方で、歯が1~19本の人では、その割合が約半数(50.4%)まで減少しています。
以上の結果からもわかるように、歯の本数は私たちの食生活の質に直結しており、歯が少なくなると食事の楽しみやバランスにも影響を及ぼす可能性があります。
次回はかむことで全身へどのような影響があるのか、実践していただきたい噛み方をご紹介いたします。