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詰め物・被せ物にも寿命がある — 治療後の歯を長持ちさせるポイント —

歯科治療で入れた詰め物や被せ物は「一度入れたらずっと使えるもの」と思っている方も多いかもしれません。しかし、詰め物や被せ物にも寿命があり、日々のケアや生活習慣によってその寿命は大きく変わってきます。
今回は、歯科治療でよく使用される詰め物・被せ物の平均的な寿命や再治療になる原因、さらに長持ちさせるためのポイントについて、詳しくご紹介しましょう。

一生モノじゃない? 詰め物・被せ物の寿命

歯科治療で使用される詰め物や被せ物は、その素材や種類によって寿命が異なります。ある研究では、治療後10年が経過した時点での生存率(まだ使用できている割合)が以下のように報告されています。

この結果からわかるのは、治療後10年が経つと金属の詰め物(銀歯)で約3割、被せ物でその半数が再治療を余儀なくされていることです。さらに、ブリッジに関しては10年経つと7割近くが使えなくなる結果となっています。
これらの数字を見て「思っていたよりも短い」と感じる方も多いかもしれません。しかし、これらはあくまでも平均的な数値に過ぎず、適切なケアとメンテナンスを継続することで、10年以上使い続けているケースも多くあります
大切なのは、治療後の詰め物や被せ物がどんな原因で再治療になるのか、また寿命を左右する要因が何かを正しく理解しておくことです。そうすることで、治療後に入れた修復物をより長持ちさせることができます

詰め物・被せ物が再治療になる原因

詰め物や被せ物が再治療になる理由には、様々な要因があります。
ここでは、その中でも代表的なケースをご紹介しましょう。

1もう一度むし歯になってしまう(二次むし歯)

歯科治療後、しばらくして再治療になるケースで最も多いのは、詰め物や被せ物の周囲にできる「二次むし歯」です。修復物と歯の境目には目には見えないわずかな段差があり、そこに汚れが溜まった状態が長く続いてしまうと、再びむし歯を発症してしまいます。さらに、大きなむし歯で神経を取った歯は、次にむし歯になっても痛みを感じないため、気づかないまま進行してしまうことが少なくありません。
最悪の場合、再治療しても修復物を作り直すことが困難になり、抜歯に至ってしまうこともあるため注意が必要です。

2接着剤(セメント)の劣化

お口の中は温度変化や化学変化が激しく、さらに食事のたびに詰め物や被せ物には大きな力がかかります。このような過酷な環境下では、長く使っているうちに詰め物や被せ物を固定している接着剤(セメント)の劣化が避けられません。
例えば、熱いものと冷たいものが交互に入ると、修復物が膨張と収縮を繰り返すことになり、接着部分に大きな負荷がかかります。また、噛む力が日常的に加わると接着剤が徐々に崩れ、詰め物や被せ物が外れたり浮いたりする原因になります。

3詰め物・被せ物の破損

硬いものを頻繁に噛んだり、歯ぎしりの習慣があったりすると、詰め物や被せ物に過度な力が加わり、破損の原因になることがあります。とくに、奥歯に入れた修復物は強い力を受けやすいため注意が必要です。
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、治療後に専用のマウスピース(ナイトガード)を装着するなどの対策を行うことが、修復物を長持ちさせるポイントになります。

4歯が欠ける・割れる(歯の破折)

大きなむし歯で神経を取った歯は、神経がある歯と比べて強度が弱くなる傾向があります。そのため、食べ物を噛んだ衝撃で、歯が欠けたり割れたりしてしまうことも少なくありません。
この場合、詰め物や被せ物に問題がなくても、再治療が必要になります。

いかがでしたでしょうか。次回は詰め物、被せ物を長持ちさせるポイントをご紹介いたします。